みかんと雪と月
「寒い中がんばってるねぇ。みかん持ってきたから食べてな」
「この道も掃除してくれたん? 綺麗になったわ」
「完成したらここでお茶飲めるんか。ええねぇ」
先日、壁を取っ払って今は骨組みだけになっているhanareの整理をしていました。外から作業の様子が丸見えなので、いつも以上に集落の人たちがいっぱい声をかけてくれました。
冷水浦には、おしゃべり好きで優しい人が多いし、ものづくり関係の人が意外と多い。元板金屋さんのおじいちゃんや手芸が得意なおばあちゃん、家具屋さんのおじさん、なかには「うちのお父さんも昔大工やったから、懐かしくてワクワクするわぁ」と話すおばさんもいたり。
だから、つくる過程そのものにも興味を持ってくれているみたい。今はまだまだ未完成だけど、そのうち飲食業の許可を取って、集落の人たちをちゃんと招けるようにしたいな。
そうこうして俄然やる気があがるなか、hanare(写真右)の整理を進めていきました。
この日は全国的に真冬の寒さで、冷水浦でもときどき雪がちらちら舞っていたけれど、動いていると体はポカポカ。夏場のように汗でびっしょりにならないし、害虫との戦いもほとんどないので、寒い時期は作業が捗って結構いいんです。
まずは1階部分に溜まっていた瓦礫やゴミを集めて、資源ゴミや埋立ゴミなどに分別。粒の大きさをあとで揃えれば不陸の調整や壁に使える土もあるので、それは土嚢袋に入れて分別。
これを終日やると、日常で偶然見かけたゴミも反射的に脳内で分別しそうになります。言わば、テトリスのやりすぎでブロックを見かけると脳内テトリスをしてしまうような感覚。
1階が片付いて収納スペースが確保できたところで、次は2階に積んでいた木材や木板を二人掛かりで下ろします。途中、木材と木材の間で冬眠していたヤモリ親子がいたので、その子たちは庭へ。必要な分を全て下ろし終わったら、サイズ別に分けて1階に並べていきます。
「段取り8割」と言われる大工仕事では、こういった整理整頓が作業効率の明暗を分けるので、ここはキッチリしっかりと。あわせてhanareとomoyaの間をつなぐ広場に積み重ねていた足場のパイプや踏板(通称“アンチ”)も移動。これで作業環境が整いました。
材料や道具を準備して改修をしては、また最適な配置に材料や道具を移動して、次の改修を進めて…、の繰り返し。ちょっとずつですが、こうやって今日も作業を進めていきます。
そう言えば、この日、大きな満月が出ていました。今年初の満月でウルフムーンと言うらしい。冷水浦は灯りが少ないから月がとっても輝いて見えて、なんだか神秘的な夜でした。